タイの大麻規制は2022年から大きく変化しています
タイでは2022年6月、大麻草がCategory 5の麻薬リストから除外されました。
これをきっかけに大麻関連市場が急速に拡大し、バンコクやパタヤ、プーケットなどの観光地では多数の大麻販売店、いわゆるディスペンサリーが営業するようになりました。
そのため、日本を含む海外では「タイでは大麻が合法になった」というイメージが広く定着しました。
しかし、2026年現在のタイの制度は、2022年当時とは大きく異なります。
タイ政府はその後、未成年者への影響や公衆衛生上の問題、娯楽目的での利用拡大などを背景として規制強化へと方向転換しました。
現在は、大麻を自由に娯楽目的で利用できる制度ではなく、医療目的を中心とした管理体制へ移行する方向性が明確になっています。
2025年に大麻花が「管理ハーブ」へ
大きな転換点となったのが2025年です。
2025年6月、大麻の花穂、いわゆるバッズが「管理ハーブ(Controlled Herb)」として扱われる制度が導入されました。
これにより、大麻花の販売や利用について、従来よりも厳しい管理が行われるようになりました。
タイ政府は大麻そのものを再び全面的に麻薬指定する方法ではなく、伝統医療や医療制度の枠組みの中で管理する方向へ進んでいます。
つまり、2022年の規制緩和から数年を経て、
「自由化」から「医療管理」へ
政策の軸が大きく変化しているということです。
2026年には販売店舗への規制もさらに強化
2026年には、事業者に対する規制もさらに強化されています。
大麻花の販売や加工などを行う事業者について、単なる一般的な小売店ではなく、医療施設や薬局、タイ伝統医療関連施設などとの関係が求められる方向へ制度が変化しています。
また、資格を持つ医療従事者の関与や、保管設備、換気・臭気対策などについても新たな基準が設けられています。
そのため、これまで観光地などで一般的に見られた「大麻ショップ」についても、今後は新しい基準への適合が必要となります。
2026年現在もタイ国内には多くの大麻販売店が存在していますが、
「店が営業している=娯楽目的で自由に購入できる」
という意味ではありません。
この点は旅行者が特に誤解しやすいポイントです。
外国人旅行者もタイの法律の対象です
タイの大麻規制は、タイ人だけに適用されるものではありません。
当然ながら、日本人を含む外国人旅行者にも適用されます。
外国人だから特別に娯楽目的で購入できるという制度はありません。
現在の制度では、大麻花を医療目的で利用する場合、タイ国内の認可された医療従事者による診察や処方を前提とした仕組みが導入されています。
そこで使用されているのが、「PT33」と呼ばれる管理ハーブの処方書です。
PT33とは?
PT33は、大麻花などの管理ハーブを医療目的で処方する際に使用される書類です。
単なるレシートや購入証明書ではありません。
処方書には、
- 患者の氏名
- 年齢
- 国籍
- パスポート番号などの本人情報
- 診断内容
- 処方理由
- 1日当たりの使用量
- 処方日数
- 総量
- 処方を行った医療従事者の情報
などが記録されます。
また、処方期間についても制限が設けられています。
つまり、観光客が店舗へ入り、その場で何の医療手続きもなく娯楽目的で購入することを正式に認めた制度ではありません。
街中にショップが残っているのはなぜ?
ここで疑問になるのが、
「それなら、なぜバンコクには今でも大麻ショップがたくさんあるのか?」
という点です。
タイでは2022年以降、多数の事業者が大麻販売市場へ参入しました。
その後に規制が大きく変更されたため、現在は従来制度のもとで営業していた店舗から、新しい管理制度へ段階的に移行している途中でもあります。
タイで広がった「合法化」のイメージと国境を越えるリスクについては、タイから英国へ、大麻密輸が急増:合法化イメージが生んだ危険な勘違いでも解説しています。
タイで広がった「合法化」のイメージと国境を越えるリスクについては、タイから英国へ、大麻密輸が急増:合法化イメージが生んだ危険な勘違いでも解説しています。
そのため、実際の街並みだけを見ると、
「以前と何も変わっていない」
ように見える場合があります。
しかし、法律や行政上の扱いは変化しています。
店頭で販売していることや、店員から「問題ない」と説明されたことだけを理由に、適法性を判断するべきではありません。
公共の場所で自由に吸えるわけではありません
大麻を適法な医療目的で所持している場合でも、使用場所には注意が必要です。
道路、歩道、公園、ビーチ、公共交通機関周辺などの公共空間で、大麻の煙や臭いによって周囲に影響を与えた場合、公衆衛生上の「迷惑行為」として問題になる可能性があります。
タイでは以前から、大麻の煙や臭気によって他人に迷惑を与える行為が公衆衛生法上の問題として扱われています。
そのため、
「タイだから屋外ならどこでも吸える」
という認識は正しくありません。
ホテルやコンドミニアムでも注意
ホテルの客室やコンドミニアムのバルコニーについても注意が必要です。
一見すると私的な空間に思えますが、煙や臭いが隣室や廊下、共用スペースなどへ流れれば問題になる可能性があります。
また、法律とは別に、ホテルや宿泊施設独自の利用規約があります。
多くのホテルでは通常の喫煙と同様、大麻の喫煙も禁止されています。
違反した場合には、
- 特別清掃費
- 違約金
- 退去措置
- 警察への通報
などにつながる可能性があります。
宿泊施設だから自由に使用できるわけではありません。
CBDやエディブルにも注意が必要です
注意が必要なのは乾燥大麻だけではありません。
タイでは、
- CBDオイル
- 大麻入り飲料
- グミ
- クッキー
- ブラウニー
- リキッド
- 化粧品
など、さまざまな大麻関連製品が流通しています。
しかし、製品の種類やTHC含有量によって適用される規制は異なります。
特に観光地や露店などで販売されている、成分表示が不明確な食品やリキッドについては注意が必要です。
タイ国内で販売されているという事実だけで、安全性や合法性が保証されるわけではありません。
CBD・CBNなどの成分については、大麻に含まれる成分一覧|THC・CBD・CBG・CBNの違いを解説もあわせてご覧ください。
タイ国外への持ち出しには特に注意
旅行者にとって最も重要なポイントの一つが、国境を越える際の規制です。
仮にタイ国内で正式な医療手続きを経て大麻を所持していたとしても、その処方書がそのまま海外への輸出許可になるわけではありません。
大麻花や大麻由来製品の輸出入には別の規制が存在します。
そのため、
タイで購入した大麻関連製品を、そのまま日本へ持ち帰ることは絶対に避けるべきです。
日本人は日本の法律にも注意が必要です
日本では2024年12月12日から、大麻に関する法律が大きく改正されました。
従来から規制されていた所持、譲渡、譲受、輸入などに加えて、不正な大麻の使用そのものにも罰則が設けられています。
そのため、日本人がタイで大麻に関わる場合、
「タイではどう扱われるのか」
だけではなく、
「日本法上どう扱われるのか」
という点についても注意する必要があります。
海外での使用行為そのものと、日本国内での施用罪の適用については法律上の整理が必要ですが、大麻の所持、譲受、輸出入などについては別の問題となる可能性があります。
在タイ日本国大使館も、日本人旅行者に対して大麻に安易に関わらないよう注意喚起を続けています。
日本の制度については、大麻は日本で何が違法?使用罪・所持・CBD・CBNを2026年最新版で整理もご確認ください。
「合法なお土産」のつもりでも日本では問題になる可能性があります
タイの観光地では、CBD商品や大麻由来成分を含む食品などが普通のお土産のような形で販売されていることがあります。
しかし、
「普通の店で売っていた」
「合法と書いてあった」
「CBDと言われた」
という理由だけで、日本へ持ち込めるとは限りません。
日本の税関では、大麻やTHCを含む製品について厳しい取り締まりが行われています。
特に、
- グミ
- クッキー
- オイル
- リキッド
- 乾燥植物
- 成分不明のCBD製品
などは注意が必要です。
海外旅行中に購入した商品について成分が分からない場合は、日本へ持ち帰らないことが重要です。
タイではさらに包括的な大麻規制も検討されています
2026年現在、タイでは大麻やヘンプについて、生産から販売、広告、輸出入などまでを包括的に管理する新しい法制度についても議論が進められています。
そのため、タイの大麻制度は今後も変更される可能性があります。
2022年当時の記事やSNS投稿を参考にして、
「タイでは合法だから大丈夫」
と判断するのは危険です。
旅行前には、タイ保健省やThai FDA、在タイ日本国大使館などの最新情報を確認する必要があります。
まとめ|2026年のタイは「自由化」から「医療管理」へ
タイは2022年に大麻規制を大きく緩和しました。
しかし、その後は規制強化へと方向転換しています。
2026年現在の状況を整理すると、
- 大麻花は管理ハーブとして扱われています
- 政策の中心は娯楽利用ではなく医療目的です
- 医療目的ではPT33などの処方制度があります
- 大麻販売店にも新しい基準が導入されています
- 公共空間での使用や煙・臭いには規制があります
- 日本人旅行者は日本法にも注意する必要があります
- 大麻関連製品を安易に日本へ持ち帰るべきではありません
という点が重要です。
2022年頃に広まった「タイ=大麻が自由な国」というイメージと、現在の制度には大きな違いがあります。
Amnesia Stationでは今後も、タイをはじめ世界各国の大麻政策や法改正について、使用を推奨するのではなく、法律・文化・社会の変化という観点から情報を整理してお伝えします。最新の記事は海外大麻ニュースからご覧いただけます。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。法律や制度は変更される可能性があるため、渡航時には必ず公的機関の最新情報をご確認ください。
